導入の背景・課題
既存ハードウェアの保守切れを契機として、データセンターの切替を検討
A社は、既存ハードウェアの保守切れを機に、データセンターの乗り換えを検討していた。最大の動機は、運用コストの総合的な削減だ。
A社では、クライアントPCを仮想化してサーバー上で集約管理するVDI(デスクトップ仮想化)システムを採用している。既存データセンターでは、そのVDIシステムと、基幹業務システムのサーバーを管理していた。
また、VDIを利用する中で、クライアントPCのレスポンス低下が発生しており、サーバー強化によるパフォーマンス改善が課題となっていた。
取引のなかったシーイーシーへ提案依頼
複数のベンダーに見積を依頼して、比較・検討することになった。今まで取引のなかったベンダーからも幅広く提案を受けたい。そこで思い出したのが、A社の取引先にシステムを納入し、保守運用をしていたシーイーシーだった。それまで直接の取引はなかったものの、シーイーシーの仕事ぶりに好印象を持っていたA社の担当者は「この機会に見積だけでも依頼してみよう」と考えたという。
シーイーシーをベンダーに選定した決め手
数社の見積を取り寄せて検討した結果、シーイーシーのデータセンターへの全面的な乗り換えが決まった。その決め手は3つあった。
第1は、データセンターの移行に関する、シーイーシーの豊富なノウハウだ。データセンターの移行には綿密な計画が求められる。万が一にもデータの整合性が崩れると、VDIや業務システムに不具合が生じ、業務の継続が不可能になりかねない。稼働中のシステムを停止できる時間が限られる一方、データコピーに予想外の時間がかかったり、想定外のシステムの不具合が起きたりと、不測の事態が発生しやすい。
シーイーシーは、大小合わせて200社以上のデータセンターの移行経験を持ち、最小のダウンタイムで確実な移行を実現するノウハウを数多く蓄積している。失敗の許されないデータセンター移行プロジェクトを任せるにはうってつけだった。
第2は、運用コスト削減への期待だ。他社による提案は、既存データセンターのハードウェアをすべて廃棄し、クラウドで再構築するものが多かった。一方、シーイーシーの提案は、償却期間や保守期間の残存するハードウェアを活用しながら、必要に応じて新規調達するもので、総合的なコストを抑えられる点が評価された。それでいて24時間365日のフルタイム監視サービスや、ヘルプデスク対応など、手厚いサポートが提供される点も魅力的だった。
第3は、VDIのパフォーマンス改善に向けた、高性能なHCI(ハイパーコンバージドインフラ)の導入だ。A社では、それまでにもVDIのパフォーマンス改善に取り組んできたが、目立った成果は出ていなかった。次世代のインフラ基盤とも呼ばれるHCIの提案は、既存の運用を引き継ぐだけでなく、積極的に課題を解決するシーイーシーの姿勢をうかがわせ、信頼感につながった。
最後に、決定的な理由となったのは、今回のデータセンター乗り換えの一連の対応に関わったメンバーが、そのまま、移設後の運用作業に携わる体制という提案だったからである。移設は、課題の解決や新規作業を含んでおり、一大イベントであるものの、あくまで通過点に過ぎない。移設後に始まる、新しい環境での順調な運用の実現こそが、本来のねらいである。移設の背景も把握しつつ、これから始まる運用作業も同じメンバーに任せられるということは、ユーザーとして非常に安心できた。
いざ、データセンター移行へ
データセンター移行プロジェクトに与えられた期間は約6カ月。当時すでに300名を超えていたVDIのユーザー数や、データセンターの規模、システム全体の移行という要件を踏まえると、決して時間の余裕はなかった。既存データセンターのハードウェアを調査し、リプレースするものと継続利用するものを決定。エンドユーザーへの影響を最小限に抑えながら、ハードウェアの移設や新規調達を行い、新たなデータセンターを構築した。データ移行の対象は、VDI端末のOSデータ、アプリケーションデータ、作業データ、さまざまな業務システムのデータなど、多岐にわたった。綿密に計画を立案し、リハーサルも実施して、すべてを移行した。
無事にデータセンター移行終了。効果を実感
6カ月という短期間で、当初のスケジュール通りにデータセンターの移行を完了。目的だった運用コスト削減を実現できた。
HCIの導入で、VDIのパフォーマンス改善にも成功した。
ヘルプデスクサービスや、24時間365日のフルタイム監視サービスの活用で、運用管理者の負担を大幅に軽減しながら、ユーザーの問い合わせへの適切な対応や、障害発生時の迅速かつ的確な対応が可能になった。障害の予兆の事前検知も可能となり、システム停止による損失を最小限に抑えられるようになった。
シーイーシーの運用チームには、導入フェーズのメンバーが継続して参画するため、プロジェクト当初の課題が棚上げになることなく、運用フェーズでの積極的な改善が期待できる。A社でも、シーイーシー運用チームの取り組みにより、運用・技術の両面で、多くの課題が解決に至っている。
「自社のシステムを熟知したメンバーが窓口となり、さまざまな要望に柔軟に対応してくれる」という、ワンストップサービスならではのメリットを、A社は実感しているという。
今後の展開
現在、データセンターの移行から5年以上が経過し、安定稼働が続いている。A社では、今後も時代の変化に対応して、オンプレミスとクラウドのハイブリッドなシステム構成や、リモートワークの充実につながるソリューションを積極的に導入したいと考えている。
シーイーシーは、データセンター構築・運用サービスにとどまらず、セキュリティ強化やリモートワークの利便性向上など、多彩なソリューションを展開している。A社のIT基盤を強化するために最適なパートナーと言えるだろう。